不安を抱えた人に対して絶対にやってはいけない4つのこと

心理学 2019/11/15
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大切な人が不安や悩み事を抱えている時、どんな言葉を掛けるべきか迷ったことはありますか?

「落ち着いて」「大したことないよ」…。どんな言葉もほとんど役に立たないとわかっていても、何か言葉を掛けずにはいられないものですよね。

友として、愛する者として、不安に苛まれる相手を助けるには、どんな行動を取れば良いのでしょうか? 私たちが相手に掛けがちな言葉がいかに役に立たないかを説明し、それらの代わりに取るべき行動をご紹介します。

1. 「落ち着いて」と言うのはNG

不安を抱えた人に「落ち着いて」、「リラックスして」、「深呼吸して」などという言葉を掛けることはやめましょう。それが可能なら、相手はとっくにそうしているはずです。

たとえば、あなたのルームメイトが職を探しているとします。ある晩、あなたは彼が「このままずっと無職だったらどうしよう」と取り乱しながら部屋の中をぐるぐる歩き回っているところを目撃します。

そんな時、「落ち着いて」と声を掛けることはごく自然なことに思えます。大切な誰かが危機に瀕している時、その相手の心をまずは落ち着かせたいと考えるのは当然です。その危機はあなたから見ればそれほど大きなものではないのかもしれません。

問題は、不安に陥った人はリラックスすることが困難だということです。人は不安を感じると、交感神経の働きが活発になり、戦うか逃げるか反応を示します。この反応は、心拍数とアドレナリン値を自動的に高め、筋肉を硬直させ、感覚を緊張状態に保つ生体反応の1つです。

戦うか逃げるか反応のメカニズムは、「理性的な」思考を無効にする働きがあります。たとえば海で泳いでいる最中にサメを発見した時、人が一番最後に考えることは逃げる「理由」でしょう。

戦うか逃げるか反応の渦中にいる人に対して、落ち着くように伝えることはまったく無意味です。「落ち着いて」というセリフは上から目線に聞こえるだけでなく、あなたが相手に起きていることにまるで関心がないとさえ受け止められるからです。

では、一体どんな言葉を掛ければよいのでしょうか? ポイントは、「どんなことを考えているの?」といった自由回答式の質問をすることです。

「どんな仕事をしたいと考えているの?」「どんな仕事を当たってみた?」「一番良い選択肢はどれだと思う?」といった質問を続けることもできるでしょう。

相手に質問を投げかけることは、あなたがその話題に関心を持っていることを表します。また、一度立ち止まって事実を確認しつつ答えを考える機会を、相手に与えることにもなります。

2. 「心配することなんてない」と言うのはNG

「大したことないよ」「きっと大丈夫」「後から振り返れば笑い話になるさ」といった言葉は、いずれも役に立ちません。本人は、本気で悩んでいるのです。それに、大した問題ではないなどとあなたにどうして言い切ることができるのでしょうか?

仮に、年頃の姪っ子がボーイフレンドと喧嘩をして、もう2人の関係は駄目なのではないかと悩んでいるとします。

もし彼女がそれほど深刻に悩んでいるようでなければ、恋愛に喧嘩は付き物だと説得することはまったく問題ありません。たとえ今の関係が終わったとしても、恋愛のチャンスは他にもたくさんあるという話にさえ、彼女は耳を傾けるかもしれません。

ですが、もし彼女の悩みがもっと深刻で、打ちひしがれているような場合、この方法は効果がありません。彼女は「叔父さんには分からないのよ! 彼が好きなの! 彼しかいないの!」と反応するかもしれません。あなたも、自分にとって何かがもっとも大切だと感じていた時のことを思い出せば、姪の気持ちが理解できるはずです。

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では、こんな時は代わりにどんな言葉を掛けてあげればよいのでしょうか? 大切なのは、相手の不安な気持ちを否定するのではなく、それに共感することです。

もちろん「彼は私と別れて、私は二度と人を愛せない」といった特定の予測に同意する必要はありません。ただそばに寄り添い、頷きながら彼女の話に耳を傾ければよいのです。「ああ、それは困ったね! 相手との関係がどこへ向かっているのか分からないと不安だね」といった同調の言葉を掛けることも効果的です。

そして、ここでも「どうして喧嘩したの?」などの自由回答式の質問を投げかけることがカギになります。ただし、相手を攻めたり、アドバイスを贈ったりしようとしてはいけません。あくまでも聞き手に徹し、自分の話を聞いてくれる相手がいるのだと彼女に実感させることが大切です。

3. 「自分にも悩みがある」と言うのはNG

想いを共有することは、時に効果的です。小さな悩みを抱えた相手がいて、その相手が自らの状況を笑えているような場合は、自分の似た悩みを共有することで、相手の緊張を和らげることができるかもしれません。

ですが、相手の悩みが深刻な時に、それを押しのけて自分の話にすり替えては決していけません。「僕も明日の大事なプレゼンのことが不安なんだ」などと言えば、似た状況に直面している友人への同情を上手く伝えられるとあなたは考えるかもしれませんが、あなたの友人が控えた演説は、あなたの予想以上に相手にとって重要かつ深刻なものなのかもしれません。

重要なのは、自分の話は一旦置いておき、まずは良き聞き手として、相手の話を上手に引き出すことです。たしかに感情的なサポートは双方向のものであるべきですが、自分の悩みを共有する時と場は選んだ方が賢明です。相手が悩んでいる最中に、自分の悩みを打ち明けることは控えましょう。

4. 不安を長引かせる行動を促すのはNG

私たちの本能は、悩める他者を助け、不安な状態からできるだけ早く救出したいと望みます。

たとえば、人見知りの友人がパーティーで面識の無い人々と交流することを不安がっていたとします。そんな時、あなたは友人にお酒を手渡して、彼をリラックスさせようと考えるかもしれません。

また、犬が苦手な5歳の我が子の近くを犬が通りかかるたびに、子どもを抱き上げる親もいるでしょう。人は愛する者から不安を取り除きたいと考える生物です。

ところが、こうした行動は実は逆効果です。不安の対象から相手を守ろうとすればするほど、長い目で見ると不安が増大するからです。

犬恐怖症の人が犬に遭遇するたびに毎回背を向けて逃げれば、犬に対する恐怖心はますます強化されます。その理由の1つは、犬を回避すること、そして回避を肯定することで、犬が実際に危険で、避けるべきものであることを自らに教え込むからです。

2つ目の理由は、恐ろしい状況を避けられた時の安心感はとても気持ちの良いものなので、そのことが戦うか逃げるか反応を強化するからです。「逃げれば安心が得られる」とわかれば、人はいつでも不安の対象を回避するようになります。

では、一体どうすれば良いのかというと、相手に優しく、毅然とした言葉を掛けることが重要です。

たとえば、「知り合いの何人かに君のことを紹介するよ。僕は君のおしゃべりが大好きだから、彼らも君のことを気に入ると思うよ」「ほら見て、わんちゃんだよ! 怖がってもいいけど、きっととても優しい犬だよ。撫でてもいいか、飼い主さんに聞いてみようね」といった感じです。

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相手の不安に共感し、自由回答式の質問を投げかけ、優しさに満ちた毅然とした言葉を掛けること…。そして、相手の不安を自分自身の不安と比較しないこと。これらを実践することで、大切な人を悩みの底から救う手助けができるかもしれません。

人間がついネガティブな気持ちに引っ張られてしまう理由

reference: psychologytoday / written by まりえってぃ

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