悪気がなくてもNG?親に嘘をつかれた経験が成人後に悪影響をもたらす

psychology 2019/12/04
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「家にはお金がないから、おもちゃは買えないよ」

小さい頃、店頭でおもちゃを買ってほしいとせがんだ時、親にこんな嘘をつかれた経験がある人は少なくないでしょう。また、自分自身もまた、親になってから子どもにこの種の嘘をつくという人も少なからずいるはずです。

最近の研究で、子どもの時に親に嘘をつかれた経験が、成人後の適応障害に関係している可能性が明らかになりました。南洋理工大学(シンガポール)のPeipei Setoh助教らによる論文が「Journal of Experimental Child Psychology」に掲載されています。

Setoh氏は、「私がこのテーマに関心を持ったのは、子どもに嘘をつくことはよくある親の行動であるのに、それがこどもにとって良い結果と悪い結果のどちらをもたらすかが不明だったからです」と説明しています。

親によく嘘をつかれた子どもは、大人になって親に嘘をつきがちに…

Setoh氏らは、シンガポール人の若者379名を対象に、「子ども時代に親に嘘をつかれた経験」「親に対して現在の自分がどの程度嘘をつくか」「総合的な心理社会学的機能」についてのアンケート調査を実施しました。

被験者は、子どもの頃、「食べ物・帰ることや滞在すること・行儀・お金の使い方」に関する嘘を親につかれたことがあるかどうかを振り返るよう指示されました。たとえば、「一緒に来ないと、置いていくよ!」「今日はお金を持ってきていないから、また別の日に来よう」などといった嘘です。

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その結果、子ども時代に親により多くの嘘をつかれた被験者ほど、大人になってから親により多くの嘘をつく傾向があることが判明しました。また、これらの被験者は、心理的・社会的に困難な場面での対処に難しさを感じがちなことも明らかになりました。

さらに、子どもの時に親に嘘をつかれることは、破壊的行動・行動障害・罪悪感・羞恥心・自己中心性・操作的行動といった適応障害にも関係していることがわかったのです。

正しい情報を提示することで子ども自身での問題解決を促す

これらの嘘は、親が子どもの感情や行動を操るために子育ての手段として、いわば「良かれと思って」ついたものでした。ですが、今回の調査結果を見る限り、親は子どもに嘘をつくことを通じて、知らず知らずのうちに嘘が最終手段としてつくことが許されることを子どもに教えているのかもしれません。

どの親も我が子と信頼に満ちた良好な関係を築きたいと望むものです。そのためには、子どもが抱いている感情に気づき、子ども自身が問題を解決できるよう、正しい情報を子どもに提示する必要があります。そうすることで、子どもが自分の頭で考え、感情を制御する能力を養うことができます。

たとえば、記事の冒頭のような場面では、「家によく似たおもちゃをもう持っているよね。帰ったらあれで一緒に遊ぶのはどう? ここで使わなかったお金は、また別の楽しいことに使えるよ。その方が得じゃない?」と伝えるのも一案です。

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一方で、この研究にはいくつかの欠点もあります。まずは、研究が若者の自己申告に基づいていることです。また、「親に嘘をつくから心の問題が生じるのか」「心の問題があるから親に嘘をつくのか」という因果経路もはっきりしていません。

研究チームは今後、子どもたちの成長過程を長期的に追跡し、変数間の因果関係を経時的に突き止めることを目指しています。また、嘘をつかれた本人の自己申告だけでなく、親・教師・友だちといった彼らを取り巻く複数の観点からの本人の心理社会学的機能についての報告を総合的に分析することもこれからの課題です。

子どもを思い通りにすばやく操作しようと安易についてしまいがちな嘘ですが、たとえ手間はかかっても嘘に代わる正直なコミュニケーションを行う方が長い視点で見れば得策のようです。親と子であっても、突き詰めれば「人と人」であることを忘れないようにしたいものですね。

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reference: psypost / written by まりえってぃ

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