「不安のコントロールができない…」不安障害の原因と治療法

psychology 2020/03/04

現代のストレス社会では、多くの人が不安を抱えているといいます。不安とは、危機的な状況で、人に戒を促してくれる重要な能力です。

しかし不安や恐怖が大きくなり、コントロールできなくなってくると、不安障害に陥る可能性があります。

不安障害の患者さんが感じる「不確かな過度な不安」は、学業や仕事に支障をきたしたり、身体的な不調を引き起こしたりします。

不安障害の原因と、うまく不安と向き合うための方法を見ていきましょう。

症状

不安障害は、大まかに、全般性不安障害やパニック障害、社交不安障害、強迫性障害、外傷後ストレス障害(PTSD)があり、一つ一つ症状は異なります。

病気か正常かを自分で判断するのは難しいので、次に挙げる症状で困っている人は病院を受診してみてください。

全般性不安障害

全般性不安障害は、日常生活で過剰な不安と心配を伴う疾患です。

課題や仕事、家事など、生活の様々な出来事に対して、不安や心配を覚え、それに手がつかなくなってしまったり、外出を控えてしまったりします。

慢性的に不安が続くと、頭痛や動悸、めまい、不眠が生じ、身体の調子にも影響してしまいます。

パニック障害

パニック障害は、予期しないときに、強い恐怖感や動機、息切れ、めまいを伴うパニック発作が生じる病気です。

一度パニック発作を伴うと、「また次回も発作が起きるのでは?」と予期不安を感じやすくなり、パニック発作が生じた場所の回避や外出ができなくなる広場恐怖性が生じることもあります。

その結果、うつ状態やうつ病を引き起こすこともあるため、心当たりがある場合は早めに専門機関を受診しましょう。

社交不安障害

社交不安障害は、人の注目が集まるような場所で強い不安や恐怖、緊張を感じる疾患です。

社交不安障害の人は、対人場面で「何か失敗するのではないか」「恥をかくのではないか」と不安や心配に囚われてしまいます。

また、スピーチの予定日よりもずっと前から当日のことが過度に気になってしまうのはスピーチ恐怖と呼ばれ、社会不安障害の人が抱える不安の一つです。

他にも、相手の視線を極度に恐れてしまう視線恐怖や、電話をする際に過度にあがり症になってしまう電話恐怖が挙げられます。

強迫性障害

強迫性障害は、自分でつまらないことだと分かっていても、強迫感から何度も確認行為をすることで、日常生活に影響が出てしまう症状です。

ウイルスや不潔感を気にして過剰に手を洗ったり、戸締まりやコンロの元栓を何度も確認したりするのが一例です。

強い不安に常に掻き立てられ、確認行為をやりすぎてしまうため、待ち合わせの時間に遅れてしまうなど、日常生活に支障をきたしてしまいます。

心傷後ストレス障害(PTSD)

強烈なショックな体験によって、時間が経ってからもその対象に強い恐怖を感じてしまう心傷後ストレス障害(PTSD)。

ふとした時にショックな体験を思い出してしまうフラッシュバックが起きたり、強い不安と恐怖感を持続的に感じたりします。

心へのダメージだけでなく、頭痛や不眠症など、身体にも症状が現れることもあるようです。

PTSDの原因として多いのは、震災や事故、火事、犯罪被害といった経験が挙げられます。

海外では、紛争地での兵役中、ショックな現場を目の当たりにし、トラウマからPTSDを発症することがあるようです。

原因

不安は自分の性格から生じるのでしょうか。それとも不安性は、置かれている環境のせいで生じているのでしょうか。

多くの場合、不安障害は、ストレスや遺伝、性格、社会・環境面が、複雑に関連しあって発症するといわれています。

全般性不安障害

全般性不安障害の大きな原因とされるのが、ストレスです。

ストレスがかかると、不安を感じやすくなり、不安のコントロールが苦手になってしまいますよね。

もちろんストレスだけではなく、子どもの頃の生育環境や、周りの人物や環境に過敏に反応してしまう神経質な性格も一因しているといわれます。

休息作用のあるγ-アミノ酪酸(GABA)や、気分のコントロールをするセロトニンの分泌異常も、発症と関係があるといわれています。

パニック障害

パニック障害の初めのパニック発作には、過労やストレスが関係しています。

ストレスにさらされると、神経伝達物質であるノルアドレナリンの分泌が過剰になり、その分泌を調節してくれるセロトニンが不足し、パニック発作が生じるのです。

社交不安障害

社交不安障害は、他人からマイナスの評価をされてしまう、他人に迷惑をかけてしまうといった恐怖が原因です。

感情を安定させてくれるセロトニンと、快感や幸福感を与えてくれるドーパミンの神経伝達物質の異常によって発症するともいわれます。

強迫性障害

強迫性障害の原因として、ストレスによってセロトニンの調節がうまくいかず、脳内に異常が生じていることが挙げられます。

心傷後ストレス障害(PTSD)

PTSDは、突然の災害や大事故を経験し、強い精神的ショックを受けることで発病します。

悲惨な状況を直接は経験していなくとも、それを目撃したり、家族や身近な人物の被害に直面したりすることも原因となるので、注意したいですね。

しかし、ショックな出来事があっても、PTSDを発症しない方もいるため、はっきりとした原因はまだ明らかになっていません。

罹患率

日本では1000万人以上の罹患者がいるといわれる不安障害。

全体の人口の4.8%が何かしらの不安障害にかかっているといわれ、とてもかかりやすい病気というのが分かります。

最も不安障害の中でかかりやすいのは、全般性不安障害で1.2%、社交不安障害は2番目に多く0.8%、パニック障害は0.5%、PTSDは0.4%です。

女性は男性よりも、不安障害に約1〜2倍かかりやすく、社交不安障害は男性のほうが、女性よりもやや疾患しやすいといわれています。

治療法

学業や仕事をしながら、不安障害の治療に臨むこともできます。不安障害の治療法をそれぞれ見ていきましょう。

全般性不安障害

全般性不安障害と診断されたら、考え方の歪みと行動を修正する認知行動療法と、薬を使って症状を改善する薬物治療を行っていきましょう。

患者さんの過去の経験で形成された認知と行動の歪みを矯正するための認知行動療法は、効果が期待できる不安障害の治療法の一つです。

さらに薬物治療では、抗うつ剤(SSRI)を用い、状況に応じて、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬を投与します。

しかし、長期のベンゾジアゼピンの服用は、依存や不安の悪化を引き起こすことがあり、注意が必要です。

パニック障害

パニック障害の治療法として知られるのが、曝露法(エクスポージャー法)です。

これは認知行動療法の一種で、苦手な場面に直面することで、不安や恐怖感に慣れていくことを目的とします。

例えば、過去に満員電車の中でパニック発作を起こし、電車に乗れなくなったとしても、その場面から逃げずに直面しつづけてみるのです。

苦手な場面でも直面し続け、パニック症が起きなかった経験を積んでいくことで、不安や恐怖が低下していきます。

薬物治療では、抗うつ剤(SSRI)やベンゾチアピン系の抗不安薬が用い、曝露法と一緒に行うと効果が期待できます。

社交不安障害

認知行動療法を行うことで、思考の歪みを矯正し、社交不安障害の方が感じる対人恐怖を低下させます。

「周りの人物よりも、自分が劣っている」という認識。

長年で形成されてきたこの考え方を改めることは、再発防止にもつながります。

薬物治療としては、SSRIや抗不安薬、ストレスが生じたときに分泌されるノルアドレナリンとセロトニンを調整するSNRIが用いられます。

強迫性障害

強迫性障害に効果的だといわれるのが、認知行動療法の一種である曝露反応妨害法です。

曝露法は、強い不安が生じてもその場面に自分自身をさらすことを指し、反応妨害法は、不安の鎮静のために行ってきた強迫行為を我慢して行わないことを指します。

曝露法と反応妨害法を合わせた曝露反応妨害法によって、不安や強迫観念を低下させ、繰り返し行ってしまう強迫行為を防止していくことが奨励されています。

心傷後ストレス障害(PTSD)

極度のトラウマを抱えた場面をもう一度思い出し、思い出しても危険はないと感じることで認知の歪みを矯正するのが、PTSDの治療にも用いられる曝露療法です。

その他にも、眼球運動をしながらトラウマを想起させる眼球運動脱感作法(EMDR)や、トラウマとなる認知の変容を促す認知処理療法(CPT)などがあります。

心理療法は専門家とともに行うことで、効果を期待できるといわれます。

しかし、PTSDにかかっているかどうかは、自分ではなかなか把握し難いかもしれません。心当たりがある場合、一度病院に行ってみることをおすすめします。

まとめ

不安障害は治らない病気でも、社会復帰が妨げられる病気でもありません。

不安障害を公表し、活躍しているアーティストや科学者や起業家も多くいます。

実際に進化論で有名なチャールズ・ダーウィンは、パニック障害に陥っていた可能性が高いと言われています。

日常でうまく不安をコントロールすることが、最も重要なのです。

「自分の視線や表情が相手を不快にさせている」と感じるのは対人恐怖症かも?

references: 厚生労働省「みんなのメンタルヘルス」 /written by cocology
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