「推しは心に効く」女性アイドルヲタクがアイドルにハマる心理学的効果を解説

psychology 2020/02/21
Credit: snowflakeworks / illustAC

筆者は女性アイドルが大好きで、いわゆる「アイドルヲタク」です。

今は少し現場から離れましたが、国民的アイドルのAKB48グループやハロープロジェクト、勢いが止まらないBiSHやまねきケチャ、notallなど発展途上のアイドルまで幅広く応援してきました。

ライブでパフォーマンスに感動し、物販でグッズを買うとニヤニヤ。特典会でメンバーと触れ合うと多幸感で心が満たされるし、ライブにいけない日は曲を聞いたり動画を観て元気をもらえて、推しがつぶやく言葉やアップされる画像を見るだけで嬉しくなります。

ただしその反面、メンバーに悲しいことがあれば胸が苦しくなり、メンバーの脱退や卒業があるとショックですごく落ち込むことも…。

ヲタクの喜怒哀楽は、アイドルと共にあると言っても過言ではありません。

でも生活をトータルで見た時、アイドルは間違いなく「心に効く」のです。

この記事では、筆者のようなヲタクがアイドルにハマる心理学的効果を解説していきます。

アイドル戦国時代を経て、今なお伸び続けるアイドル市場

2010年、AKB48が日本中を沸かせると、日本全国でアイドルグループが乱立。これまで芸能に力を入れていなかった企業もアイドルプロデュースを始め「アイドル戦国時代」が幕を開けます。世界最大のアイドルフェス「Tokyo Idol Festival」をはじめイベントでの盛り上がりは凄まじく、市場は大きく拡大していきました。

2018年、人気グループの相次ぐ解散によりアイドル戦国時代の終焉が見えた頃、アイドル市場も衰退の一途とたどるものかと思われました。

しかし、矢野経済研究所の調査によると今後も拡大傾向にあり、2019年度はユーザー消費金額ベースで前年比6.3%増の2,550億円に拡大すると予想されています。

昔のアイドルと今のアイドルの違いは「アイドルとヲタクの距離」

一昔前のアイドルと比べ、この時代のアイドルは「アイドルとヲタクの距離の近さ」が特徴として挙げられます。

近距離でライブを見ることができ、握手会や特典会では直接話したり、チェキや写真を一緒に撮ってもらえる。また、ブログやSNSを通じて、アイドルのプライベートやリアルな心情を知ることができる。

こういった物理的・心理的な距離の近さが、ヲタクがアイドルにハマる心理に大きく関わっています。

ヲタクがアイドルにハマる心理とは?

それでは、具体的にヲタクがアイドルにハマる心理とは一体どういったものがあるのでしょうか?心理学の観点から、3つのポイントに分けて解説します。

1. 単純接触効果(ザイオンス効果)

「単純接触効果」とは名前が示す通り、何度も繰り返して接触することによって好感度や評価が高まっていく効果のことです。つまり、会えば会うほど、知れば知るほど好きになっていくということです。

先述したように、今のアイドルは握手会や特典会などで接触する機会が多いのが特徴。単純接触効果によって、ヲタクは推しに会えば会うほどハマっていきます。

また、現場に通いアイドルに認知してもらったヲタクは、心の距離がより近くなったと感じます。大勢の中の一人である自分のことを覚えてくれたという嬉しさも相まって、さらにハマっていくヲタクも少なくありません。

2. ギャップ効果

今のアイドルはさまざまな側面を見せてくれます。まず、芸能人という本来遠い存在であるにも関わらず、現場に行けば会えるという矛盾(ギャップ)があります。「会いに行けるアイドル」がコンセプトのAKB48グループが良い例です。

また、普段は盛り上げ担当のアイドルがグラビアで大人っぽい表情を見せたり、クールなキャラクターのアイドルが生誕祭で感涙する、妹キャラで愛されてきたアイドルが後輩が入ったことでお姉さんになる、というギャップもアイドルにハマる要因の1つでしょう。

3. 自我関与

「自我関与」とは自分と特定の人・物との関わりが多ければ多いほど、それらが自分と深い関係があるものだと感じ、強い愛着が湧くようになる心理効果のことです。

現場にたくさん通ったり、グッズを大量に購入したりと、アイドルを応援すればするほど愛着心や思い入れが強くなっていきます。そして、その自負心からさらに熱狂的にハマっていくのです。

アイドルヲタクでいることでメンタル向上が期待できる

発達心理学者であるエリク・H・エリクソンが提唱した「発達段階説」によると、人間には8つの発達段階があり、各段階には成長や健康に向けてのポジティブな力と、退行・病理に向かうネガティブな力が拮抗しています。

そのポジティブな力がネガティブな力を上回ると、人はより健康的な発達をし「よりよく生きているための力」が生まれると結論づけました。

不安定だけど夢と可能性に満ちていた若い時代が過ぎ、ある程度安定する中年になると人生の先が見えてきます。

特に40〜65歳ごろの成人期(後期)は、自分自身が動くことが主体であったライフスタイルが、子どもや後輩などの育成へと変わる時期。そのままでは元気を失い「停滞」してしまいます。

そんなネガティブな力に対抗するのが、次世代を支えていく人や物を育てる「世代性」というポジティブな力です。自分は衰えていっても、子どもや会社の部下・後輩、地域の若者を育てることに喜びを見出せると、人は希望を持つことができます。

アイドルを応援することで、育てる喜びを見出している人も多いはずです。駆け出しの地下アイドルであれば尚更、「自分がこのグループを大きくしてあげたい」「メジャーデビューできるように大きく育ってほしい」と強く感じるでしょう。

また、2010年の論文「ファン心理と心理的健康に関する検討」では、アイドルに共感したり、「アイドルのような生き方をしたい」というような目標を持つことが熱狂(ハマる気持ち)を生み、その結果として精神的な健康を作り出しているという結果が出ています。

つまり、アイドルにハマり、ヲタクでいることで、メンタルの向上が期待できるのです。

夢中になれるものを見つけることで人生が輝く

今回は、ヲタクがアイドルにハマる心理と、アイドルにハマることでヲタクのメンタルに与える影響について心理学の観点からご紹介しました。

困難にもめげず、高い目標へとひたむきに突き進んでいくアイドルの姿はとても輝いて見えます。筆者もいちヲタクとしてアイドルの強く美しい生き方を心から尊敬し、「私もがむしゃらに頑張りたい」という気持ちを持てるようになりました。

残念ながら「いい年してアイドルが好きなんて…」という言葉が多くありますが、心から好きなものに夢中になることはかっこ悪いことではありません。推しを応援して、自分自身の人生も輝かせましょう。

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