矛盾したことばかり言う親や上司…「ダブルバインド」が続くとどうなる?

psychology 2020/04/29
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親や上司など、周囲の人から矛盾のある指示や命令をされて困った経験はありませんか?「自分はいったいどうすればいいんだろう…」と悩む人も多いかもしれません。矛盾の生じるコミュニケーションは「ダブルバインド」と呼ばれ、この状況が長引くと精神的にもよくない影響があるといわれています。今回は、ダブルバインドの概要とその影響についてお伝えします。

ダブルバインドとは?

ダブルバインドとは、2つの矛盾した意味のメッセージを相手に命令することで、相手に強いストレスや混乱を与えるコミュニケーションのことです。簡単に言うと、人は矛盾したことを命令されると強いストレスを受けるということです。

ダブルバインドはアメリカの文化人類学者であるグレゴリー・ベイトソンが発表した説です。グレゴリーは、親子などの家庭内コミュニケーションにダブルバインドが生じていると、家庭内にいる人に統合失調症のような症状がみられるケースがあると指摘しました。

このように、ダブルバインドはよい人間関係を構築するうえでは避けるべきコミュニケーションです。しかし、こうしたコミュニケーションは日常生活の中で多く行われています。

家庭におけるダブルバインドの例

家庭内、特に親子の間ではダブルバインドが非常に起こりやすいといわれています。親は子どもを愛する立場である一方、しつけや教育する立場でもあります。そのため、ときに子どもに対して威圧した態度で指示や命令をしてしまうことがあるのです。

たとえば、子どもが遊びで家の壁をらくがきしてしまったとしましょう。親は最初、「怒らないからどうして壁にらくがきをしたのか言いなさい」と命令します。そして子どもが正直に理由を話すと「どうしてそんなことをするの!」と怒ります。最初に「怒らない」と言ったにもかかわらず、です。

このように、正直に言ったら怒らないと約束したにもかかわらず怒られることで、子どもは混乱してしまいます。

仕事におけるダブルバインドの例

ダブルバインドは家庭内だけでなく仕事でもよく起こります。上司の言っていることが二転三転し、ミスをすると強く叱責される状態に陥ると、叱責された部下も何がなんだかよくわからないまま、自信をなくしてパフォーマンスも下がってしまいます。

近年、話題に上がるパワハラにもこのダブルバインドが潜んでいるケースがあり、部下を指導する立場の人はダブルバインドとなるコミュニケーションをとっていないか、気をつけたほうがよいでしょう。

ダブルバインドが続くと自信を失ってしまうことも

家庭でも仕事でも、長いあいだダブルバインドの生じている状況に置かれた人は自信をなくして自分を責めるようになっていきます。矛盾した指示や命令で常に頭が混乱しているために考えがまとまりにくく、だんだんと判断力が鈍くなることもあるようです。

こうしてダブルバインドによるストレスを受け続けると、うつっぽくなったり、さらに進行して精神疾患へとつながるケースもあります。もし、ダブルバインドの状況にいてつらく感じている場合には、早めにその状況から離れられるように対策をしたほうがよいでしょう。

すぐにその状況から離れられない場合は、専門家によるカウンセリングなどを受けて、今あるストレスを軽減していく方法もあります。

もし、あなたが親や上司などの立場で、ダブルバインドを引き起こすコミュニケーションを取っていると気づいたら、今すぐに改めましょう。お互いに思いやりのあるコミュニケーションが、良好な人間関係につながります。

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reference:長谷 正人「ダブル・バインドへのシステム論的アプローチ」社会学評論,1989 年 40 巻 3 号 p. 310-324,ダブルバインドとは-心理資格ナビ / written by Cocology編集部
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