“明日から本気出す”人たちに共通する「学生症候群」とは?先延ばしのクセをやめる方法

心理学 2020/06/05
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「まだあわてるような時間じゃない」「明日から本気だす」

学生時代、こんなことを呟きながら締め切り直前に宿題をやった記憶はありませんか?

この先延ばしにしてしまう心理的行動特性を「学生症候群(Student Syndrome)」と呼びます。とてもわかりやすいネーミングですね。

名前こそ「学生」ですが、大人になってからもこの特性で苦い経験をした人は多いかと思います。

今回は、この学生症候群の科学的な対処法を詳しくご紹介します。

学生症候群とは

学生症候群とは、一言でいうと「タスクを先延ばしにしてしまう心理的行動特性」のこと。これが発生すると、締め切りがある作業を行うとき、スケジュールに余裕があればあるほど、着手するのを先延ばしにしてしまうのです。

しかし先延ばしをすると、不安・ストレス・欲求不満といった副作用が生じます。そして、慢性的・長期的に先延ばしを繰り返していくと、心に多大なネガティブな影響をもたらしてしまうのです。

先延ばしをしているときの脳の動き

では、「先延ばししたい」と思っているとき、脳はどのような状態になっているのでしょうか。先延ばしは欠点だと思っている人が多いですが、実は人間みんなが持っている脳の自然なメカニズムなのです。

脳は、何か楽しくないこと・辛いこと・努力が必要なことといった「ネガティブなこと」に直面すると、辺縁系がそれを拒否し、違うことをしようと促します。例えば、お菓子を食べたり、YouTubeを観たり、ネット記事を読み漁ったりなどです。

そうした楽しいことを行った結果、つまり先延ばしを行った結果、ギリギリで「まずい!もうさすがにやらなきゃ!」と思ったとき、脳はアドレナリンを放出して、やる気を起こさせます。

脳の辺縁系はこのような流れで反応するため、先延ばしは多くの人に起こりますが、それを制御できるのが「前頭前野」という脳の機能です。前頭前野は、推論や計画を司る部位。これを利用した方法で、学生症候群に対処することができます。

科学的な学生症候群の対処法

以下では、脳の働きに基づいた学生症候群の対処法を4つご紹介します。

1. パーキンソンの法則

先延ばしを表すものとして有名なのが、「パーキンソンの法則」です。「人は時間があればあるほど、作業を先延ばしにして、与えられた時間のギリギリになって焦る傾向がある」という法則のことです。

これを防ぐためには、細かい締切を設定するのが良いと言われています。1年がかりのプロジェクトも、「初月にリソースを確保し、3ヶ月目には企画立案、半年経つころには制作に入り…」といったようにフェーズごとに締め切りを作っておけば、時間を丸々使わずにプロジェクトが完了することも可能でしょう。

先延ばしをすると、プロジェクト規模が大きくなるほど、より心の負担になります。短すぎず、長すぎず、適切かつ現実的な締め切りを設けて、着実にタスクを完了させるようにしましょう。

2. ツァイガルニク効果

ツァイガルニク効果とは、「人は達成できた事柄よりも、中途半端で中断したり達成できなかった事柄の方を強く覚えている」という心理効果のことです。

これを利用すると、手をつけていないタスクよりも、中途半端に進めたタスクの方が気になり、完了させたくなる気持ちを作ることができます。面倒くさいタスクは、まず少しだけ手をつけておくのが、先延ばしを防ぐポイントです。

3. ヤーキーズ・ドットソンの法則

人はストレスが少なすぎるとそのタスクへの関心が生まれず、一方ストレスレベルが高すぎるとストレスホルモンが増えすぎて機能を停止してしまいます。これがヤーキーズ・ドットソンの法則です。

つまり、先延ばしにしているタスクには、「適切なストレスがかかっているか」を注意して見る必要がありますやる気にならない理由は、簡単すぎるせいかもしれません。タスクの難易度を高めてみるか、ストレスのレベルを調整してみましょう。

4. プレマックの原理

脳は報酬に対して喜びを感じるため、「タスクを頑張ったらご褒美がもらえる」としておくと、脳はタスクをこなすためにやる気を出すことができます。こういった報酬への欲求を利用することは、生物学的にも非常に有効な手段なのです。

報酬は、お菓子を食べる、漫画を読む、Twitterを見る、トイレに行く、といった小さなものでも問題ありません。タスクを始める前に、自分なりのご褒美を用意しておきましょう。

締め切りがないタスクは自分で設定する

これまで説明した「締め切りがあるタスク」は、最終的にアドレナリンが放出されることで、タスクに向き合うことができます。

しかし、締め切りがないタスク(緊急ではないが重要なタスク)は、焦らせるものがありません。例えば、駆け出しの個人事業主の仕事、健康維持のための運動、離れたところに暮らす家族に会いに行くといったことです。

このタイプの先延ばしはいくらでも延期させられるため、いずれ大きな不幸や後悔に繋がる可能性があります。締め切りがない重要なタスクは、自分で設定するようにしましょう。

心身の健康のために先延ばしをなくしていこう

今回は、学生症候群について、そしてその対処法をご紹介しました。ついついやってしまう先延ばし。締め切りギリギリで焦ってやった方が集中力が上がり、質の高いものが出来上がる経験があると、クセになってしまいます。

しかし、先延ばし癖は心身ともに害をなす危険性があるため、少しずつでも直していく必要があるでしょう。今回ご紹介した対処法をぜひ活用してみてください。

また、性格的なもの以外に、ADHDなどの障害によって先延ばしをしてしまうこともあります。自分の先延ばし行動がどこから来るのか判断がつかない方は、専門家の診察を受けてみてください。

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reference: IT media, life hacker, TED, 日経WOMAN SMART, DIAMOND online, 心理資格ナビ/ written by Cocology編集部

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